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てきすとあっぱーかっと投稿
※温泉旅館の双子。
第4章 闇


毎日のように一緒にお風呂に入って、毎日のように卓球をして、毎日のようにカラオケをして、
毎日のようにバトルして腹を殴り合って・・・・・・。
彼らはいつの間にかおれのベットで寝起きするようになっていた。
真夏の暑い夜、とはいっても部屋の中は常に快適な温度に保たれているのだが、
さすがに3人引っ付いて寝ていると熱い。トランクス一枚の小学5年生が二人とその真ん中で
同じくトランクス一枚の大学生。寝ている最中にけられようがなにされようがまったくお構いなしの3人が、
それぞれの肉体をべったりひっつけて並んで寝ていた。
朝はおれが山に行く関係で一番におきるのだがついでに悪がきたちも起こしてじゃれる。
そうもちろん朝といえば、例のものを握り合ったり、運動させたりするのが常であった。
そうそうどうでもいいのだがこいつら小学5年生のくせに、いやまだ毛も生えていないのに、
あれを発射することができる。ちょっとおどろいたけど、
知識もテクニックもおれよりはるかに先を行っている。先日は風呂でけんたに強引に出された直後に、
ゆうたにもう一発連続でいかされた。
おれも生まれて初めて他人のものを長時間握り締めてフィニッシュさせるという体験をした。
まあでも彼らに言わせると旅館に泊まりに来たお客さんと頻繁にやり合っているらしく、
「年齢や大きさは関係ない」らしい。
思い起こせばおれとかれらの出会いもそういえばこの変体じみた歓迎から始まったのだった。

 話が少しそれたが、この頃になっておれと悪がきたちの距離はずいぶん接近して
毎晩いろいろと語るようになった。幼い頃母親が死んで施設にいたこと。父親の仕事の関係で
今は親族が経営するこの温泉旅館にいること。学校のこと、好きな女の子のこと、
失敗してお客さんに怒られたときのこと、野球クラブのこと。
そうなのである。この野球クラブの話はおれも驚くほど衝撃を受けた。また同時に
なんともいえない感情がこみ上げてくるのだった。

ゆうた「けんたねえ、この前野球の練習中にゲロってたんだよ。」
けんた「あんときは必死だったぜ。だってよ!
水野先輩に散々やられた後でトラのおしおきだったもんな。」
「トラ?」
けんた「ああ、あのね野球の監督さん。すっげえこわいよ。」
ゆうた「そうそうめっちゃくちゃなぐられるしね。」
「まじで?ちょ、その話聞かせてよ」
けんた「ええー、腹30発でいいよ。」
「OK!」
なにかと理由をつけて腹を殴るのはむしろおれが彼らに教えたテクニックである。
「そんで?」
けんた「まずはね、水野先輩なんだけど、あの人はねえ、機嫌が悪いといろいろ
ものにあたるんだって。でさでさ、この前たまたまおれがそばにいてさ、
ひたすらみぞをなぐられたんだって。」
ゆうた「おれ途中から見てた!けんたのさあ、けんたの襟首もってかべにこうや
ってがんってたたきつけてさあ、ボコンボコンなぐってたよね。」
ゆうたはけんたを実験台にしてその場の状況を再現した。
けんたものりのりでゆうたのこぶしを自分の腹に打撃させてリアルさをアピールした。
けんた「おれさあ、めっちゃいたくって、しかも呼吸がうまくできなくって、
両手でこうやって首のところのてを振りほどこうとしたらさあ」
ゆうた「そうそう、いきなりひざげりだったよな。」
けんた「まじでかんべんしてくれよって感じだったよ。でもさあそんときはどう
ってことなかったんだって。いつものことだし。」
ゆうた「うん、おれも被害者の一人。」
すでに驚きの連続だが、内心おれもけんたを殴りたくって仕方がなかった。
けんた「そんでー、練習が始まって−、いつものように途中でトラに呼び止められてー、部室に入ると。」
ゆうた「おしおきタイム!最近けんた多いよな。一日に2回とか3回とかあるし。」
けんた「そうなんだって。そんでさトラにやられるんだって。」
「どうやって?殴られたりすんの?」
けんた「おう、普通だよな?」
ゆうた「普通普通、夜練の時ほどじゃないけどね。」
「ヨルレンって?」
ゆうた「夜の練習。たまにここに来て筋トレとかするんだって。」
けんた「夜練はまじきっついよ。次の日筋肉痛だし。内臓がつぶれてる感じだし。」
ゆうた「はははは、おれもー、途中で内臓が飛び出そうになるし。」
初日、おれの部屋から猛ダッシュででていった少年ファイターのことを思い出した。
おそらくあの日彼らがトラと呼ぶ野球の監督さんが来る日だったのだろう。
「それでそれで、部室でなにされるの?」
おれはなぜか興味心身だった。なぜかかれらの話し振りが楽しそうだったからだと思う。
けんた「せっぷくでしょ、それからくぎうちでしょ、それからロンドン橋・・・・・・。」
ゆうた「くぎうちって何?」
けんた「知らんの?」
ゆうた「だっておれセップクとロンドン橋ぐらいしかやられたことないし。」
けんた「くぎうちっていうのはー。」
けんたはゆうたを床の上に仰向けに寝かせて実演しようとしている。きょろきょ
ろとあたりを見回しておれの登山用の杖を手に戻ってきた。
けんた「これ貸してね。・・・・・・そんでーこれバットだとして、こうやって
腹につきたてて、くぎを打つみたいにやるんだって。」、ズドズドズド
ゆうた「いってええ!まじで?おれこんなのやられたことないし。」
けんたはトランクス一枚のゆうたのへそあたりに右足を乗せて、
ぐんと体重を乗せた後、腹の中央につきたてた杖をぐいぐいと、
まさに釘を打つように一回一回力を込めて内臓の中心点に押し込んだ。
「おいおいまじでそんなことされるのかよ。」
けんた「まじまじ。」
「じゃあ切腹とかロンドン橋は?」
今度は同じくトランクス少年のけんたが正座して、杖を持ったゆうたがけんたの後ろに立った。
ゆうた「あのねえ、こうやってー・・・・・・。」
けんたの後ろに立ったゆうたがバットに見立てた杖のもち手のとがってないほうを
けんたの腹にあて、まるで切腹するサムライのようにぐいぐいと衝撃を与えた。
「そんなことやって何か意味あるの?」
ゆうた「筋トレだよな?」
けんた「そうそう、おしおきだけど結構腹筋が鍛えられるよな?」
「ばかじゃねえの!でロンドン橋は?」
そのままけんたが四つんばいになった。その横にゆうたがちょこんと腰を下ろしてけんたの腹を
下から上に向かって何度も何度も殴るのだった。ゆうたに打たれるたびにけんたのせ簿根の周りの
筋肉がぴくぴくとわずかに盛り上がっている様子がよくわかった。
けんた「これって腹に力が入りにくくて結構きついよな。」
左手で腹部をさすりながら上体を起こしたけんたが感想をいった。
「おまえらっていつもこんなんやられてんの?」
けんた「まあ、ほんの一部だけどね。」
そういったけんたの顔が妙に印象的で、年齢以上に大人に見えたのと、
笑顔の裏にあるなんともいえない影を感じざるを得なかった。

けんた「そんでさあ、しばらくまた練習に戻ったんだけど、すっげえ気持ち悪く
なってさあ、水道のところまで走っていってゲロった。ははは・・・・・・。
でもそれからはけっこうすっきりしたんだって。」
「・・・・・・おまえら・・・・・・えらいなあ。」
なんて言葉をかけたら良いのかわからなかったが、
こんな気の利かない言葉でもやさしい双子はにっこり笑ってくれた。
そして彼らの体をしっかりと抱きしめ、さらに力いっぱい腹を締め付けそのまま3人でベットに倒れこんだ。
しばらくの間3人は無言で天井を見つめ、おれは静かに「おやすみなさい」と声を掛けた。
ふたりの寝息の横でおれはいつまでもいつまでも眠れず、けんたやゆうたが殴られている姿を想像して、
無性にイライラするような気分であった。おれはかれらの柔らかい肉をもみほぐしながら、
それでもいつまでも、なぜかこの感触とかわいい寝顔がなんとなくおれを眠りに導いてくれた。

次回(ラスト)へつづく…

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