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てきすとあっぱーかっと投稿
※『腹打ちに目覚めた理由、そして』
第1章


俺が腹打ちに目覚めたのは中学1年の頃だった。
きっかけは民放のスポーツ番組、試合を直前に控えたボクサーの特集を放送していた。
俺は偶然にもその番組を目にすることが出来た。
番組の内容は主にインタビューに練習風景で構成されていた。
そしてその練習風景の中にそのボクサーが腹筋を鍛える為に、パートナーに腹をパンチしてもらう
シーンが映ったのだ。俺はそのシーンに釘付けとなってしまった。
そして興奮の極みに達してしまった。ある種の感動といっても良かった。
俺はしばし考え込んだ。なぜ興奮、感動といった類のものを感じたのか。
しばらくして漠然としてはいたが、ある一つの答えを俺は導き出した。

腹を殴る、この行為には色々な意味があると思う。例えば、上記の腹筋を鍛える為、
或いはボクシングの試合において、若しくはイジメ、カツアゲ、
兎に角色々な場面で腹を殴るという行為を目にすることが出来る。
しかしその中で信頼、愛情といったものを感じることが出来るのは腹筋を鍛える為だけのように思える。

なぜか。

それは殴る方には、選手にもっと強くなって欲しいというある種の愛情があり、
殴られる方には、その殴る方の強くなって欲しいという期待に応えたいという、
これまたある種の愛情がある。まるで恋人同士のキスと同じ意味を感じとる事が出来る。
翻って、それ以外は愛情を全く感じられない。むしろ愛情とは対極に位置する憎悪や悲しみを感じてしまう。
俺は漸く一つの答えらしきものに辿り着いた。だが今度はその腹を殴るという
行為を実践してみたくなった。いや正確には腹を殴られる行為といった方がいいかもしれない。
何故か俺は腹を殴るよりも殴られるという方に魅力を感じてしまった。
では何故腹を殴るよりも殴られる方に興奮を感じてしまったのか、俺は考えたが、
こちらの方は答えを見つけることが出来なかった。いや答えを見つけるだけの頭が無かった、
と言ったほうが正しい。

翌日、俺は腹を殴られる為に意気軒昂と学校へ向かった。
心なしか足取りも軽いように感じられた。学校に着くなり俺は悪友の洋祐の机へと向かった。
洋祐とは小学校以来の親友で、共に楽しい時を過ごしていた。
その洋祐に俺は自分の欲求を叶えることに協力、つまりは腹を殴ってもらおうと思ったのだ。

「オッス、洋祐」
「オッス、茂」

俺たちは互いに挨拶すると、取りとめもない話に終始した。
そしてそろそろ朝礼を知らせるチャイムの音がしたので俺は本題に入ることにした。

「なあ、洋祐、今日一緒に帰らないか」
「いいけど、何か相談事でもあるのか」

まあ、確かに一種の相談事ではあったが、その時はただ曖昧に、ああ、と頷くだけに留めた。
洋祐は、分かった、とだけ答え、俺は自分の席へと戻った。
学校が終わり、俺たちは一緒に帰ることになった。学校へ出たあたりで洋祐が俺に尋ねてきた。
「ところで何だ、急に一緒に帰ろうなんて誘って」
「いや、特に訳は無いけど、ただ、最近お前と一緒に帰ってなかったからさ、何となくな」
「そっか、でも今日は俺、用事があるから途中でお別れだ」
俺と洋祐の家は目と鼻の先にある。

「用事って?」
「今日はジムに行く日だから」
「ジムって?」
「ボクシングだよ」

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